2.(パリに)泊まってみよう
フランスに行く前に、宿泊場所を確保しましょう。特に繁忙期は出発前にホテルやアパルトマンを予約することを強くお勧めします。また、現地で国内旅行する際にも、以下の情報を参考にしてください。
1.ホテル hôtel(オテル)
ホテルって何?
宿泊施設であるホテル(hôtel:フランス語ではオテルと発音)は、建物である「館」を指す語です。交通手段として馬車が主な時代、ホテルは日本でいうところの旅籠屋(旅人が休息する場所)や修道院であり、館の主人(hôte/hôtesse, hôtelier/hôtelièreと呼ばれた)が旅行者に食事と眠る場所を提供するところでした。
今でも、公共の建物にはhôtelが付くことがあります(例えば、市役所はhôtel de ville:フランス語ではオテル・ドゥ・ヴィルと発音)。かわって、王族や貴族等の邸宅(hôtel particulier)は「私的な」を指す « particulier »を付け、区別していました。
ホテルが現在の形態になったのは、1789年のフランス革命以降のことです。食事を提供するのがレストラン、眠る場所を提供するのがホテルと分業されていきました。そして、産業革命によって鉄道網が広がり、市民の間に旅行といったレジャーの習慣が根付くと一気にホテルの需要が加速していきました。
今でも歴史ある建物(例えば、お城)を利用したホテルがフランスには多く残っています。最近では、バカンス期間にアパルトマンが貸し出されることがあるため、ホテルの代わりに利用する旅行客もいます。
ホテル選び
ホテル選びに参考になるのが、ホテルの格付けです。星マークで示されることの多いホテルの格付けには、大きくわけてフランス観光振興機構ATOUT France(政府観光産業局の後身)によるものと、ミシュランガイドなどの民間企業によるものがあります。ATOUT Franceによる格付け(星1~5)は、宿泊料の価格帯はもちろんですが、ホテルの設備であるシャワーやトイレ、エレベーターやエアコンの有無、インターネット(WiFiやLAN)の設置環境、フランス語以外の言語を話せるスタッフが常駐しているか、フロントの対応時間などによって決められます。なるべく客観的な事実を基に、宿泊客の快適さと安心・安全によって決定されると言えるでしょう。星5を獲得しているホテルのうち、建物として歴史的価値がある、コンシェルジュ・サービスがある、スタッフに3か国語以上を話せる者が複数名いる、食事のサービスが常時提供可能であるなど、特に優れたホテルには「パレス」という称号が与えられます。
これに対して、ミシュラン等の民間企業による格付けは、優良ホテルの紹介や推薦の要素が強く、そのためホテルの設備や対応言語だけでなく、ホテルの利便性やスタッフのサービスの質を問う傾向があります。ミシュランガイドでは匿名調査をうたっているように、実際の宿泊客として調査員が宿泊し、ホテルの格付けを行います。現在、こうした傾向はBooking.comやTrivagoなどのネットサイトにも引き継がれ、様々な国の一般旅行客の意見が反映されています。
ホテル選びをする際には、こうした格付けの目的や観点を参考に決めるとよいでしょう。また、予約したグレードの部屋と違ったり、設備に不備があったりした場合は、フロントで部屋を変えてもらいましょう。
Atout Franceによる格付けは、ポイント制になっています。ご参考までに情報をまとめたものはこちらです。
ホテルリンク集
・Atout France : https://www.atout-france.fr/
・Michelin France : https://guide.michelin.com/fr/fr/
・Booking.com:https://www.booking.com/country/fr
・Trivago : https://www.trivago.jp/
ホテルを決めるポイントや注意点
ホテル選びの基準は様々です。基本的なポイントと日本との文化習慣の違いに関する注意点をまとめてみましょう。
・宿泊する地区の治安や交通の利便性を調べましょう。
・原則、ホテルの宿泊料金や星の数は外に掲示されています。パリのホテルはクリスマスや年末年始、パリコレ(ファッションウィーク)の時期(年によって変動はありますが、1~3月、7月、10月の数日間)は高い傾向にあります。日曜日の宿泊料金が安くなるホテルもあります。
・ホテルの宿泊料金は基本、部屋の値段です。例えばツインルームで1泊100ユーロの部屋の場合、二人で宿泊すると一人当たり1泊50ユーロということです。国内旅行の際になかなか部屋が見つからない時は、場合によっては(特に繁忙期)、部屋の対応人数をオーバーしても補助ベッドで対応してくれることがあります。交渉してみましょう。
・宿泊料金の他に、18歳以上の宿泊者に対して滞在税(Taxe de séjour)が泊数毎にかかります。宿泊地やホテルの格付けによって、滞在税の値段は変わります。
・ホテルの設備やアメニティを調べましょう(WiFiやドライヤー、エアコンはあるか等)。最近はフランスの夏も暑くなってきましたが、日本と比べると屋内は涼しいことが多く、エアコンがないホテルもあります。基本、パジャマは用意されていません。歯ブラシや石鹸がないところもあります(サイトから確認)。
・日本から電化製品を持っていく場合、フランスでも使えるか調べておきましょう(電圧が異なりますので、使えない場合は変圧器が必要)。
・フランスの水は硬水なので、日本のシャンプーや洗剤(軟水用)だと泡立ちが悪い場合があります。
・長期間の滞在を予定している場合は、部屋で料理のできるstudioタイプのものや、下記のアパルトマンの短期貸しがおすすめです。
2.暮らしているかのように滞在ができる「アパルトマン」
アパルトマンとは?
パリなど大都市にはウィークリーマンションのように、比較的短期間(3日~数週間)あるいは長期間(数か月単位)滞在できる家具付きアパートが多数あります。フランスでは夏にまとまったバカンスを取る習慣があり、留守にする間、住居を旅行者や短期滞在者用に貸し出していたり、賃貸料の節約のため自分が借りているアパートを休暇中だけ別の人に貸し出していたりする場合もあります。1か所に長く滞在する予定がある、滞在中友人とルームシェアしたいなどの希望がある場合は、このようなアパート(アパルトマン)を借りるといいでしょう。
日常的には集合住宅の1室をアパルトマン(appartement)という言葉で表すことが多いのですが、厳密にいうと、アパルトマンは寝室(居間)とキッチンが分かれている集合住宅を指します。日本でいうとアパートというよりマンションと呼ぶのがふさわしいでしょう。小さなキッチンとバストイレがついたワンルームはステュディオ(studio)と呼びます。どちらも冷蔵庫、コーヒーメーカー、電子レンジ、コンロ、調理器具、カトラリー等は備え付けられています(調味料などはないこともあります)。最近はフランスでも猛暑が頻繁に起こっていますが、日本に比べると湿度がかなり低く過ごしやすいので、エアコンはまず備え付けられていないと考えた方がいいでしょう。アパルトマンはベッドの他にソファベッドを備えていることもあり、相談次第では3人以上が泊まれるので、多くの場合、宿泊費はホテルよりも安くなります。自炊や洗濯ができるので、ルームシェアすれば滞在費をかなり安くあげることができます。フランス人の日常の生活感を味わうことができるのも魅力です。
賃貸契約の仕方
アパルトマンやステュディオを斡旋するサイトは多数ありますが、初めて使うのであれば日本人スタッフが対応してくれるところがいいでしょう。どこのサイトもアパルトマンの場所、設備、賃貸条件等について詳細に記載しているので、複数比較して自分の条件に合うところをチョイスしましょう。選択をするにあたっては、自分が主に行きたい場所からの距離、最寄り駅からの距離、アパートがある界隈が安心できる環境かも考慮するようにしましょう。アパルトマンを契約する場合、多くの場合が賃貸料をクレジット前払いします。入居1週間くらい前までには搭乗する飛行機の便名、アパートに到着する時間を知らせる必要があります。スタッフが対応できる時間に到着できないと追加料金が必要になります。日本を出国する前に、スタッフがメールで事前にアパート玄関の暗証番号を知らせてくれます。アパートに到着すると部屋の設備、洗濯機の使い方やゴミの分別の仕方等を説明してくれ、鍵を渡されます。
!アパルトマン契約上の注意
稀ですが、SNSで貸し出しているアパルトマンには、違法な「又貸し」(部屋を借りている人が大家さんの許可を得ずに貸している)の場合があります。こちらには何の落ち度はなくても、違法な「又貸し」の場合、大家さんに見つかると追い出されますので、賃貸契約をする前にしっかり確かめましょう。
アパルトマンのデメリットとイイトコ取りの appart’hôtel
いいところばかりのように思えるアパルトマンですが、デメリットもあります。まず、住居を借りて住んでいるので、掃除は自分でしなければなりません。お湯が出ない、隣人の騒音が気になる(あるいは隣人から騒音のクレームを受けた)などのトラブルについては、斡旋会社や大家とコンタクトを取り、自分で対処しなければなりません。こんな場合、少なくとも英語でコミュニケーションが取れないと立ち往生してしまいます。
ホテルの快適さを享受しつつも滞在費は安くあげたい!と考えている方には最近増えてきたappart’hôtelがおすすめです。appart’hôtelは文字通りアパルトマンとホテルが合体したような宿泊施設で、キッチン付きホテルと考えるとわかりやすいでしょう。appart’hôtelにはキッチンおよび最低限のキッチン用品完備(冷蔵庫、カトラリー、調理道具等)が完備されていて、自炊が可能です。しかもフロントがあるので基本的には到着時刻を知らせる必要がありません。有料にはなりますが、洗濯室がある施設もあるので、コインランドリーを町の中で探す必要もなくなります。appart’hôtelは短期滞在から予約が可能ですが、ベッドリネンとタオルの交換や毎日の清掃サービスは有料です。
・ホテル及びアパルトマン総合予約サイトbooking.com
http://booking.com/
・フランス・パリの生活情報交換サイト MixB
https://fra.mixb.net/accommodation/articles
・パリを代表する apprt’hôtel Citadines
“citadines / paris” で検索(上記の booking.comからも予約可能)