4. 買い物しよう!
最新のファッションが揃うデパート、ちょっと敷居の高い専門店、マルシェに並ぶ新鮮な青果や乳製品、人々の生活を支えるスーパーマーケット、蚤の市ではアンティークの家具や掘り出し物…。ショッピング目的でフランスを訪れる方も多いでしょう。ここでは、そんなショッピングが楽しくなる情報を掲載しています。
1. デパートはフランス生まれ!? 専門店と小売店
デパート Grand Magasin(グランマガザン)
19世紀半ばのパリにブシコー夫妻が、世界初のデパートのシステムを作ります。ショーウィンドウやショーケースによる商品の展示、値札を付けた定価販売、そしてセールといった現代では当たり前のことがこの時代に確立していきます。
中でも画期的だったのが、« Entrée libre »(入場無料)という制度です。それまで、お店に入る=何かを注文する・買うという暗黙のルールがあり、入店する時は、何か必要なものがある時でした。しかも、定価がないことが多く、店の主人と交渉する必要があるなど、ちょっと手間がかかる場合も。デパートの入り口に« Entrée libre »と掲示されることで、「ちょっと見てみよう」という習慣が生まれます。すなわち、必要なものがあるから買い物するのではなく、ショーウィンドウやショーケースに並べられた商品を見ているうちに何か買いたくなるというシステムだったのです。欲望を刺激する消費社会の誕生です。
・フランスの有名なデパート一覧
Le Bon Marché
1852年創業(世界初のデパート):https://www.lebonmarche.com/
Le Printemps
1865年創業 パリ9区 オスマン大通り店が有名:https://www.printemps.com/fr/fr
Les Galeries Lafayette
1894年一号店舗開店 パリ9区 オスマン大通り店が有名:https://www.galerieslafayette.com/
La Samaritaine
1870年創業 パリ1区 ポンヌフ橋のすぐ近く:https://www.dfs.com/fr/samaritaine
Le BHV(Bazar de l’Hôtel de Ville)
1856年創業 マレ地区にあるお洒落デパート:https://www.bhv.fr/
ウィンドウショッピングを楽しんでみては?
専門店・小売店 Magasin(マガザン)、Boutique(ブティック)
何か決まった買い物がある時は、専門店や小売り店がお勧めです。お店にはその道のプロや職人さんがいることが多く、迷った時は相談してみるとよいでしょう。お気に入りのお店(あるいは店員さん)を見つけ、店員さんとの会話を楽しみながらショッピングする人もいます。最近では、英語が通じるお店も多いです。片言のフランス語でも話をしっかり聞いてくれる店員さんもいますので、必要な単語を前もって調べておくといいでしょう。
お店選びに困ったら、ショーウィンドウを観察しましょう。大体の価格帯が分かります。また、食料品店の場合、ショーウィンドウやお店の入り口にシールやプレートが貼られているか確認しましょう。例えば、 « Pudlo »のシールが貼られていると、辛口批評で知られるPudlowskiのガイド本に紹介されているお店です。その他にも、BIOやABというマークがあると、オーガニック製品を扱っているお店のことです。
昔は、入店=購入の暗黙のルールがありましたが、今はそんなことはありません。数ある商品から迷うこともあれば、他店の商品と比較することもありますので、買わずに退店しても問題ありません。むしろ、フランスではじっくり吟味する人が多いかもしれませんね。洋服などは試着してから買うと、失敗しないですみます。ただし、値切るなどの値段交渉が成立した場合は、購入するようにしましょう。
エルメスやヴィトン、シャネルなどの高級ブランドのブティックに行く場合、最初は敷居が高いかもしれませんが、その歴史(例.もともとはどんなお店だったのか)や営業理念、接客方針などを理解しておくと、違った楽しみ方ができるかもしれませんよ。
ソルドがお勧め!
セールのことをフランス語では、ソルド(soldes)と呼びます。なんとソルドの開催期間(年2回1月初旬~2月中旬、6月中旬~7月が多い)、割引率や割引される対象(ストック品ではいけない)まで法律で定められています。最新のものがかなりお得に買えるチャンスですのでお勧めです。
・フランスのソルド情報はこちら: https://www.economie.gouv.fr/particuliers/soldes
2. スーパーマーケットとマルシェを上手に使いこなそう
スーパーマーケット Supermarché(シュペールマルシェ)
フランスには、日本と同様にスーパーマーケット(フランス語ではシュペールマルシェと発音)がたくさんあります。中には、イペールマルシェ(hypermarché)と呼ばれる大規模スーパーマーケットもあります。日本で言うところの、ショッピングモールに近いでしょうか。
スーパーマーケットに並んでいる商品については、人々の暮らしに深くかかわっており、日本よりも豊富な種類の商品を揃えている場合(例. チーズ、チョコレート、ワイン)もあれば、日本で当たり前にある商品のバリエーションが少ない・全くない場合(例. 味噌、出汁、餅)もあります。フランスでは和食ブームが続いているため、珍しい日本の食材が手に入ることもあります。また、地球と健康に優しいBIO(オーガニック)製品を扱うスーパーマーケットが増えてきました。BIO製品専用のスーパーマーケットまであります。
基本的には、買い物の仕方は日本とほぼ同じですが、特にフランスではSDGsの観点から、環境問題に関心が高く、レジ袋も有料のためエコバッグ持参の人が多いです。注意すべき点は、レジ(お金を払うところ)で袋詰めすることです。その他の注意点については「3. 買い物の注意」をご覧ください。
日本とフランスのスーパーマーケットの大きく異なる点は、レジの人が座っていることです。レジにはベルトコンベアが付けられており、レジの人が移動しなくても商品を移動させることで、レジ打ちができるようになっています。ヨーロッパではこのスタイルのレジを採用したスーパーマーケットが主流です。労働者に対する配慮なのかもしれませんね。
・フランスの有名なスーパーマーケット一覧
(Géant)Casino:https://www.supercasino.fr/
Monoprix:https://www.monoprix.fr/
Carrefour:https://www.carrefour.com/fr
Auchan:https://www.auchan.fr/
E. Leclerc:https://www.e.leclerc/
Franprix:https://www.franprix.fr/
Leader Price:https://www.leaderprice.fr/
ぜひお気に入りのスーパーを見つけてください。
マルシェ Marché
スーパーマーケットが色々な商品が揃うデパートのような存在だとすれば、マルシェ(市場)は専門店の集まりと言えるかもしれません(もちろん、一部のスーパーマーケットには、専門スタッフを置いている場合もあります)。たとえば、新鮮な野菜、果物、お魚や乳製品、そして特産品が買いたいとなれば、マルシェに行くといいかもしれません。マルシェには、いろいろなタイプがありますが、定期的(週1、2回の午前中)に行われる屋外型のものが一般的でしょうか。パリの場合、区域によって国籍や人種が異なることも多く、そのため取り扱う商品や食材、価格も異なります。マルシェ好きな方は、色んな街で開催されているマルシェ巡りをするといいでしょう。
不定期に行われるコンセプト型のマルシェも面白いです。古本市、BIO(オーガニック)製品市、アンティーク市など、自分の趣味趣向に合わせて、訪れてみては。蚤の市に興味があれば、クリニャンクールの蚤の市もおすすめです。ただし、区域にもよりますが、マルシェや蚤の市にはスリがいることがありますので、持ち物(特に財布やスマホ)にはご注意あれ。
・パリのマルシェ情報:
https://www.parisinfo.com/search?otcp_search%5Bq%5D=march%C3%A9
・パリの蚤の市情報:
https://www.parisinfo.com/shopping/marches-aux-puces-et-antiquaires-paris
3. 買い物時の注意点!
・「お客様は神様」ではありません。お客さんとお店の人は対等です。
・入店時にお店の人やレジの人にBonjourを、退店時にはMerciやAu revoirを必ず言うようにしましょう。
・高級ブランド店を除いて、高額紙幣は嫌がられることが多いです(偽札ではないかチェックされることも)。支払いはクレジットカードやデビットカード(フランスでは、Carte bleueカルトブルーと呼ばれています)、スマホ決済が便利です。
・小売店では開店時間にお店が開かないこともあります(開いていても、準備中の場合も)。けれども、どの業態のお店も閉店時間はしっかり守ることが多いのがフランスです。たとえば、19時閉店のお店の場合、19時に来店しようとすると断られる場合があります。というのも、閉店時間というのは、レジやお店のシャッターを閉めてしまう(閉め始める)時間なのです。
・言葉が通じない時は、ジェスチャーを使ってみましょう(例えば、「大きい」というジェスチャー)。伝えたいという気持ちが大切!
・スーパーマーケットでは、野菜や果物が量り売りされていることが多いです。必要な分をデジタルスケールに乗せて、タッチパネルを押したらバーコードが出てきます。タッチパネルにはイラストや写真付きのものも多いですが、野菜や果物のフランス語名が分かると作業が簡単になるので、売り場で確認しておきましょう。
・スーパーマーケットでは、レジで袋詰めをします。レジ袋は有料ですので、なるべくエコバッグを利用しましょう。
・中古品やストック品、アンティークを扱うお店では、値段交渉が可能なところがあります。もし値段交渉が成立した場合は、購入するようにしましょう。
・お店にもよりますが、間違って購入したもの(サイズ違い・型違い等)は、返品・交換がきくことがあります(日本よりも対応してくれる可能性は高いかもしれません)。間違って購入してしまった場合は、お店の人と交渉してみましょう。